落ち着きなく藤原翁が右往左往していると。

「あら翁…ここを嗅ぎつけたの?」

しっとりとした声をかけてきたのはカレンだった。

「ようこそ私の秘蔵酒コレクションコーナーへ」

「秘蔵酒?これはお主の酒なのか?」

目を丸くする藤原翁に、カレンは頷く。

「長く生きていると、いいお酒にも沢山巡り合うものよ?折角のクリスマスに、シャンパンだけってのもつまらないでしょ?だから日本酒も少し持ってきたのよ」

少しとは言うが、この場にはざっと50種類近い日本酒の瓶が並べられている。

高校生がこれだけの日本酒を隠し持っているというのは問題あるような気もするが。