白い翼と…甘い香り


「周りの事なんか
考えたくねぇ…って
そう思うのってズルいよな?

それは、分かってんだ。

けど、リカが俺に対して
負い目を持つのもヤなんだ。

リカの気持ちが
100%で向かって来れねぇの
分かってるし…」


「……」


違う…
100%で向かってる…と

強く叫ぶくらいに
答えたかった。

気持ちには
ウソがない事を伝えたい。



だけど
和也が言いたい事も分かる。

何となくだけど、たぶん
同じような事を考えてた。



自分で言うのは変だけど
主人を裏切っていても

平気で居られるくらいに
傲慢な人間なら良かった。

罪悪感を
これっぽっちも感じないで

あなたが愛してくれないからと
自分を正当化できる性格なら
楽だったかも知れない。


和也を好きだと思い
手放したくないと夢を見ながら

その気持ちだけに
溺れてしまえたら…


私はもう少し
上手く生きられた気がする。



どんなにか和也を愛しいと思い
この気持ちを本物だと思っても

それを
「愛」だと呼ぶのは

何かに対して
ズルい気がした。