白い翼と…甘い香り


「笑った顔が見たかった
だけだと思う。最初はね。

だから言ったじゃん
空を見上げてる顔が
泣きそうに見えたって」

「簡単には、泣かないよ」

「うん、そう思った。
泣きたいけど我慢してる

だから無理にも空を見上げてる
そんな気がしたんだ」

「ふぅ~ん、そっか…」


和也は肩を抱き寄せるように
そっと私に寄り添った。

その肩に、少し
もたれかかってみる。

今度は、肩に添えてた手で
頭を抱えるみたいにして

「もっと寄り掛かっていいよ」
って、優しい声でそう言った。



それは単純な
言葉通りの意味だけじゃなくて

気持ちも心も
そして身体も

私の全部で和也に
寄り掛かってもいいと

そんな風に聞こえた。



「和也に出会うなら…
もっと若くて結婚もしてなくて

色んな事を楽しんでた
時期に出会いたかった。

何だか、悔しい。
どうして、今なんだろ?」


和也は少し、何かを
考えてるみたいに黙ってた。

空を見上げて遠くを見て
少し難しい顔をして

肩を抱き寄せる手に力を込めた



「今、だからだよ?」

「…どうして?」

「必要だったから…
じゃねぇかな?」

「…何が?」

「今の俺に、今のリカが
必要なんじゃね?」