食器の片付けが終わってから
和也はコーヒーを淹れてくれた
大きなお揃いのマグカップに
今度はミルクを少し
最初から入れてあった。
何気なく言った事を
覚えていてくれる
それは、もの凄く
嬉しい事だったんだね。
「ねぇ、ベランダで飲まない?
星、出てるかな?」
思い切って、聞いてみた。
誰と会話する時でも
相手の顔色を見てしまうクセは
いつからだろう?
断られたらイヤだ
通じないなら言わない
反対されるなら黙ってる…
そんな風に
自分の意見を言うより先に
相手の顔色を伺う
そんな会話しか
出来なくなってた。
だけど和也には
それをしない。
そう、決めた。
会って数時間で
私はそう決めていた。
真っ直ぐな目を
真っ直ぐ受け止めたいから
だから私も
本音を隠さずにいたい。
最初は、簡単な事から
始めたらいいんだって
そう思う。
「いいよ
夜なら涼しいかな?」
和也は何の
ためらいも迷いもなく
私が言った事に
賛成してくれた。

