幸せなことは
小さな事で
いいんだよね…
ねぇ、和也…
私は本当に
知らなかった事が
いっぱいあったんだね。
一緒に話しながら
ゴハンを作るって
こんなに楽しかったんだ…
美味しそうだって
言ってくれる言葉が
こんなに嬉しいもんなんだ?
誰かのために作る事が
本当はこんなに
幸せだったんだね?
褒めてもらえる言葉は
私の存在を
認めてくれる言葉のようで
1つ1つが心に
染みてくるんだね?
「リカ、どした?」
「ん…、美味しそうって
言ってくれるのって
嬉しい言葉だよね?」
「普通…、じゃね?」
また、和也は
不思議そうな顔をする。
そんな当たり前の事を
どうして言うのか
分からないって
そんな感じの顔をした。
「でも言わないで
黙々と食べる人も、居るよ」
「……」
「女が作るのは当たり前だって
思ってる人も居るよ」
「……」
真顔になった和也は
お箸を持ったままの手を止めて
私の言葉に耳を傾けていた。
「リカは…
リカの欲しい言葉は
普通の言葉なんだな」
「きっと、そうだね」
そう言ってお皿を片づけながら
すぐ横に来た。
真顔になった和也は
そっと肩を抱くように
「じゃ、俺が言うから
いっつも俺んとこ、来い」
覗き込むようにそう言って
ソッと触れるように優しく
オデコをコツンと合わせて
また、笑ってくれた…

