私は、何を考えている?
自分を取り巻く
すべての事を、忘れていた。
何でも、良かった。
どうでも、いいこと。
今、目の前に
生きてるって実感できる
何かを見つけた。
恋に、落ちた?
そうかも知れないし
違うかも、知れない。
恋に、墜ちて行こうと
してるのかも知れない。
でも、それでも構わない。
間違った事をしてるのは
分かってる。
それでも、手に入れたいと
思ってる。
こんなに、見てるだけで
切なくなるなんて
知らなかった。
たった一言が
心を、溶かす。
見詰め合った目に
吸い込まれそう…
「ねぇ、あと少し
近付いて…」
そんな言葉が
吐息と一緒になってこぼれた。
何も言わずに
和也のクチビルが
やっと私のクチビルに
そっとそっと
触れる。
ほんの少し、かすかに
触れただけの優しい感触と
ずっと近くにあった
甘い香りが
頭をボーッっと
麻痺させる。
一瞬だけ触れたクチビルが
色んな気持ちを
すべて忘れさせて
もうどこにも戻らないと
行ける所まで行ってみたいと
そんな、合図に思えた。
私が
望んでいた世界は
罪と罰のあいだに
あるのかな…?
だったら
それでも構わない。
ソコへ
墜ちて
みたい…

