ねぇ、和也?

さっき彼が
頬にキスをしたとき

ずっと前から
分かっていた事をまた
再認識したの。



同じ香水だって
分かっているけど

彼の首元から漂った香りは
少しだけ、違うね。


私をドキドキさせる
「和也の香り」は

もう少しだけ
甘いんだもの。


和也がもともと持ってる
身体の匂い

それがないから
本物の香りじゃない。

私が欲しい香りと
少しだけ違う。


いつも使ってる爽やかな
シャンプーの匂いや
お気に入りの入浴剤

少し甘い汗の匂い
タバコの煙

そんなものが
全部混ざらなければ

私の知ってる
「和也の香り」には
ならないんだね。



少しだけ、違う…

大事なモノが
足りない。

本物なのに
違うんだね。



和也の横に帰らなきゃ
本当の香りには

まだ
逢えないんだね?




逢いたいよ…


早く、逢いたい。