「待って!」
「じゃあな
気ぃつけて行けよ」
そう言うと
クルリと背中を向けて
さっさと行ってしまった。
電話は
切られてない…
でも
小さく手を振った和也の姿は
すぐに見えなくなってしまった。
「待ってよっ!!」
追い掛けようと駆け出して
クリスマスツリーの横まで走り
和也が吊り下げた紙袋を
引ったくるようにもぎ取った。
中身を見る余裕なんてなくて
手に持ったまま
和也が消えた方へ走り出す。
ここのエスカレーターを
降りたはず…
でも、姿は見えなくて
通路は左右に分かれていて
どっちへ行ったか
分からない。
でも
電話は
切られてないんだ…

