白い翼と…甘い香り


「コレ、見える?」

和也は自分が手に持った
小さな紙袋を
少し上に持ち上げて見せた。


電話越しに
遠く離れているクセに

耳許で
囁くように話すんだね。


和也の姿を見たくないから
背を向けたはずなのに

気が付けば、その姿を
探して探して目を凝らして

じっと真っ直ぐに見てたんだ。



「うん、見えるよ」


「コレ、このツリーに吊るから
俺が帰ったら取りに来て」

「……」

「ここから、これ以上
リカには近寄らねぇから」


そう言うと
クリスマスツリーの手頃な枝へ
小さな紙袋を吊り下げた。

私に手渡さないのは
和也の気を使った
気持ちなんだろうけど

クリスマスツリーに吊ってあるなんて
少し、切ないよ…


「待ってよっ
何が入ってるの?」

「大したもんじゃねぇよ
飛行機に乗ってから
開ければいいし」


そう言うと
こちらに向かって
小さく手を振った。


小さく

バイバイって…