私は、何かを
期待してた訳じゃない。
今もこんなに
愛しいのに
早く和也の前から
離れたかった。
優しい言葉も笑顔も
見えないように…
もう、見ては
いけない物のようで…
わざと、背中を向けた。
「何で、目そらすの?」
「もう、和也に
会いたくないからだよ」
「やっぱり俺が
好きだからだろ?」
「違うよ…」
「違ってても、まぁ、いいよ。
ただ、渡したい物があって
来ただけだから」
違うよ…と言った
消えそうな声を
和也はまた勝手に無視して
都合のいいように
自分の解釈で受け取り
そんなのは最初からウソだって
分かっているかのように
笑った
携帯電話から聞こえる声は
昨日までと
何にも変わらなくて…
私たちは今朝
2度と逢わないって
約束したはずなのに
どうして平気で
喋っているのだろうね。
もちろん
切ない気持ちは大きくて
顔を見るのが辛いから
背を向けたのに…
どうしてこんなに
近くにいると
そう…
感じてしまうんだろうね。

