「あとは、見てたら分かった。
砂糖は入れねぇけどミルクは
ちょっとだけ入れたよな?
俺も砂糖はいらねぇから
今度からは
出さなくていいじゃん。
それから、もし俺んちに
どっかで貰ってきた
クッキーの詰め合わせとか
あったとするでしょ?
ドライフルーツのは
間違っても出さねぇよ。
俺とおんなじだったし
好きそうなクッキー
選んで食べてもらえるじゃん?」
「……」
「それからね、俺がお蕎麦に
ワサビを入れてたらさぁ…
ちょっとイヤそうな目で
見てたでしょ?
辛いのとか、嫌いなんだ?」
「………」
「それから
真っ直ぐ目を見て話さねぇの…
答えに迷うとき
右側の髪の毛、触ってる。
笑うと少し、右へ
首を傾けてるのもクセだね。
それも
見てたら分かるじゃん」
和也は
本当に当たり前の事みたいに
自然な顔をして話してる。
私はどうして
こんな話に
ドキドキしてんだろう?
何だか少し
苦しくなってくるのは
何でだろう…?

