読みながら
涙が出そうだった。

ただ、和也を想って
泣きたくなった。

明日の朝には
帰ってなきゃいけない。

それを…

それをどうやって
和也に伝えればいいの?


それでも、誤魔化しようも無い
真実をちゃんと伝えて説明して

私は
帰るしか無かった。



いつかこういう…
避けられないけれど
ありふれた事態にぶつかる事は
いくらでも予測できたのに

私の考えはいつも甘くて
きっと誰かを傷付ける。

明日の計画は
たくさん決まったのに

どうしたら…



「重要な、メール
だったんじゃねえの?」

布団から出て
ベットに腰掛けた和也が
じっとこっちを見てた。

「………」

「黙んなくてもいいよ。
顔、見たら分かっちゃうし」

枕元に脱ぎ捨てたバスローブを
裸の身体に軽く羽織って
私の横まで歩いて来ると

そばに立ったまま
頭にソッと手を乗せた。

優しい手が
ヨシヨシと頭を撫でる。

顔を上げて、和也の顔を
見る事が出来なかった。

泣いて、しまいそうで…

優しい手が、何だか痛かった。



「ご主人からじゃないの?」

黙って、頷いた。

「見ても、いい?」

私の落胆した態度で
何となく重要な事だと
気付いてるみたいに

和也の声は
限りなく、優しかった。

横にしゃがみ込んで
私の手の中にある携帯を

手ごと握り締めるように
わざと私の手に触れながら

包み込んで読み始めた。