白い翼と…甘い香り


さっき
ほんの1時間前に
初めて逢ったはずなのに

何も遠慮せずにこの部屋で
一緒に居ることを

私は

和也が強引に誘ったからだと
思い込もうとして

誘われたからだって
自分に言い聞かせてた。



そう思っていたら

「もう少し
話したかったんだ…」

と、最初に言った
心に響いた言葉の意味を

深く考えずに
居られたから…?



「もっと話したい」
という言葉を

そんな素直に
受け取っちゃいけない

そんなのただの
挨拶だよねって

そう思っていた方が
気楽だから……



だってそんな事は
誰も

言ってくれないんだよ…



「別に
どうでもいい事じゃ無いよ」

「だって、コーヒーとか
クッキーとか…」


「俺んちさぁ
いつも2種類のコーヒー豆を
買ってんだ。

男友達が良く来んだけど
けっこう酸味のきいた苦めのが
好きだったりして。

けど、俺は
割とまろやかなのが好きで
だから2種類買ってんの」



また、もっと
どうでもいいような事を
話してる気がしてた。



だけど
続きを聞きたいのは

何でだろう……??


和也の喋る言葉が
段々と心地よく聞こえてくる。