「ねぇ、お互いに何か
プレゼントしよっか?」
突然、そんな事を思い付いて
言ってみた。
「お互いに?」
「そう、私は今から男性物の
売り場に行ってみる。
和也に何かを選んでくるよ」
「俺も、何か選ぶってこと?」
「そうよ、お互いに何か1つ
プレゼントしたい物を買うの」
なるほど〜と和也は頷く。
「今から30分後にココへ来て。
内緒で買ってくるんだよ?」
「ふぅ~ん、分かった。
俺の好みでいいの?」
「何でもいいよ。
値段は安めにしようね」
そう言って、手を振って別れた
私は2階上の
男性物コーナーまで
エスカレーターを昇る。
途中で振り返ると
和也はずっと
私を見上げてたから
また小さく手を振った。
突然、どうして
そんな事を思い付いたのか
分からないけど
和也が、私に何かを
買いたそうにしてる気がした。
何でも良いから私が
和也の選んだ物を
身につけてあげられるなら
そうしてあげたいって
思ってしまった。
そんな小さな事でも
また1つ前に
進むんじゃないかって…
進んでどうにもならない事は
分かっていたけど
それでも
和也の真っ直ぐな目が
痛いくらいに愛おしくて
だけど苦しくて…
ホントに、何にもして
あげられないんだねって
思い知ってしまうのが
辛かった。
ただ買って貰うより
お互いにプレゼントしたら
和也の気が楽なんだろうって
そんな事も思ってた。
和也は、どう思ったのか
分からない。
2人で外へ出た
記念日の思い出
そんな感じで
思っててくれれば
いいのだけど…

