白い翼と…甘い香り


「ねぇ、じゃ俺も
カプチーノ注文してたら
何を描いてくれたの?」

和也の質問に

「迷わずに、同じハートを
描かせて頂きます。お揃いで」

そう言うと
「ごゆっくりどうぞ」と微笑み
奥へ下がって行った。

「飲むの
なんかもったいないね」

「ハートごと飲んじゃえば
いいことあんじゃね?」

「そっか、そうだね」


誰か見知らぬ人から
「幸せそう」だと
言われるとは思ってなかった。

だから、そんな小さな事が
ホントに嬉しくて

コーヒーカップの中で
ゆらゆらしてる
ハートの泡みたいに

いつかは消えてしまう
想いかも知れなくても

それでも今
「私は幸せなんだよっ!」と

誰にでも言いたくて
誰かに認めて欲しくて

消えないうちに
ハートの泡を飲み干した。







ねぇ、早く手を繋いで

街の中を歩こう…


ココでは
隠れなくていいのよ。

きっと誰が見ても
私たちは幸せそうに
見えるのよ?

誰も見て無くても
アナタを
見せびらかせて歩きたい。


大好きな人と一緒に居るんだよ
だから幸せなんだよって

街中の人に知って
欲しいような気がして

知らない街だからこそ
私は笑える。


アナタが居るから
笑えるんだね…


どこにいても私の背景は
何も変わらないのに

この街では
いつもより大きな声で
大好きだと言えそうで

隠さずに自分の気持ちを
見せられそうで嬉しくて

でも

本物の世界じゃない気がして
寂しくなったり…

自由な生き方が
出来たらいいのにと

悲しくなったりする。


指を絡めて繋ぐ手は
私の心もギュッと
握り締めるみたいに力強くて

「迷子になるな」
と言ってくれた言葉を
いつも思い出す。


ゴメンね。


知らない街では
隠れなくていいのに

堂々とアナタと
居られるのに

ほんの小さな世界で…

私は迷って
隠れてばかり居る。



心の底では
いつも迷子の私で

ゴメンね…