通りに面した場所で空いている
2人掛けのテーブルに座り
和也はクロワッサンサンドとコーヒー、
私はカプチーノとスコーンを注文した。
スコーンのぎっしり詰まった感じの
食感が私は大好きだったけど
和也は
「パンかクッキーかビスケットか
はっきりしない食感」
そう言って、良く買ってくる
私を見て笑ってた。
私が買う店のスコーンには
干しぶどうが入っていたから
いつも目を細めて
眉間にシワを寄せて
何だか苦そうな顔で
「うまい?」って聞いたりする
和也は、ベーグルとかクロワッサンに
何か挟んで食べたりするのが
好きなんだよね。
「お待たせしました」と
運ばれてきたカプチーノには
表面にとても柔らかそうな
ふわふわしたハートが
描かれていた。
「うわっ、かわいいっ
見てっ!」
「あっ、ホントだ」
和也も
カップを覗き込むようにして
じっとその、白と茶色で
描かれたハートを眺める。
「気に入って頂けました?」
長身でスリムで
とてもキレイな笑顔をした
店員さんが笑ってそう聞いた。
「ええ、とても。
これは、アナタが描くの?」
「まだ下手ですけど
注文されたお客様のイメージで」
「私は、ハートなの?」
「ええ、あの横断歩道を
お2人が渡ってる時から
とても幸せそうに
見えていたので」
そう言って
とても優しそうに笑った。
私も、和也と
顔を見合わせて笑った。

