車に乗り込むまで、ずっと
繋いだ手を離さなかった。
人目を避ける
必要があるのか無いのか
和也と居る自分が
正しいのか間違いなのか
「好きだ」という気持ちに
占領された私の頭では
答えが出なかった。
もう、それしか
感情がないのかしら…
それなのに
「好きだ」という気持ちと
「2人の未来」
は別の物だと
そう考えてる自分も
寂しかった。
どうしても
一緒には考えられない
「別々の未来」が
心を重くするほど
悲しかった。
車に乗り込むと
和也は陽気な音楽をかけ
笑って楽しそうに
上手な運転を続けた。
車の中は、小さな密室。
2人で居る
心地良さに慣れた私には
車の中はとても快適な空間で
飾らない自然な会話や
私らしく居られる時間を
楽しんでた。
都心から離れるように
ドライブしながら
何かから逃げてるように
感じる気持ちも抑え込んだ。
高速道路を
快適に飛ばしながら
海が見えれば
キレイだとはしゃぎ
田舎に差し掛かれば
風景に癒され
天気がいいと
空を見上げて喜ぶ事さえ
隣りに和也が居なければ
意味が無いと
私は、知ってる。
些細な事だからこそ、余計に
和也の存在を感じていた。
和也が居るから
海がキレイに見えて
和也の隣りに居るからこそ
晴れた空が嬉しい
そんな事を
感じられる気持ちさえ
和也以外の誰からも
貰えないと
私は、知ってる…

