白い翼と…甘い香り


ゆっくりと停止して
ドアが開いたとき

和也はじっと
自分の足下を見るように
うつむいてた。


「やっぱり

一緒が、いい…」



私の声に、足下からゆっくりと
顔を上げた和也は

私が1番見たかった顔を
見せてくれる。

少し驚いたようで
でも、とても優しい顔で
笑ってくれた。



「大好きっ」

そう言って、エレベータの
ドアが閉まるよりも先に
和也に飛びついた。


黙って抱き寄せて

「俺も…」

と、もう一度ギュッと強く
次にドアが開くまで
ずっと抱き締めてくれてた。

こんな小さな箱の中で
それでもいいから

2人で一緒に
部屋を出たことが
ただ、嬉しかった。





小さな事しか出来ないけど
残された時間の全部で

和也を大好きだと
伝えたい。


後悔しないで
1番大事な時間を

過ごしたい。


それでも…

和也の腕から
流れ込んでくる暖かさに

私はやっぱり
心の中で謝ってしまう。




こんな事しか

出来なくて


ゴメンね…