この部屋でしか
逢ったことのない2人は
外へ出るだけで
迷ってる…
何かに、迷いながら
進んでいく。
とても寂しくて
申し訳ない気持ちを抱えて
黙って首を横に振る。
このマンションじゃ
それは、無理…
ごめんね
だから…
知らない街へ
行きたいんだよ…
「んじゃ、地下の駐車場まで
先に行ってて。
荷物は持ってく」
「ごめんね…」
「気にすんな」
自分の小さな
バックだけを小脇に抱えて
和也の部屋を先に出る。
後ろ髪を引かれるような
情けなくて泣きそうな
そんな気持ちで、1人で
エレベータに乗り込み
そのドアが閉まる頃…
遠くから、和也の靴音が
少しだけ聞こえた。
ドアが閉まるのを見ながら
そんな事で
涙が出そうになる。
あの部屋から手を繋いで
2人で出掛ける
それを出来る
勇気があるなら
私はアメリカになんて
行ったりしないで
ココに、居る。

