白い翼と…甘い香り


「うんっ
普通のデートがしてみたい。

でも、東京から離れて
知らない街がいい」


「分かったよ。んじゃ
あんまり田舎でも困るな。
そこそこ街じゃねぇと…」

そう言うと
ポチポチとパソコンを操作して

何かを入力しながら
勝手に決めているようだった。



「予約できたよ」

「もう? どんなところ?」

「着いてのお楽しみ。
メシは付けてないから
ブラブラして気に入った店で
食えばいいだろ?」

「うん」


今度は自分の着替えを
カバンに放り込みながら
さっさと準備を済ませる。

明日の着替え、それだけを
詰め込んでるみたいで
和也の準備は5分もかからない

少し鼻歌を歌いながら
何枚かのTシャツを見比べ

少し考えて
「こっちにしよっ」って
感じで
カバンに放り込んでた。



「昼飯、どうする?
食ってから行く?」

「どうする? 私は
そんなに食べなくても平気」

「そう? んじゃ、どうせ
車で2時間くらいかかるし
途中で何か買おっか」

「うん、それでいいよ」


携帯をポケットに押し込み
家の鍵を握って

自分の荷物と一緒に
私の荷物も持ち上げた。


小さなリュックみたいな
自分のカバンは肩に担いで

左手に私の荷物を持ち
玄関へ向かって歩きながら

右手は、そっと
私の手を引っ張った。


「手、つないで大丈夫?」


この部屋から手を繋いで
2人一緒に出ても
大丈夫なのかと

それを、聞いている。