「ただいまー」
「おばさんただいまー」
家についた頃には、もう辺りは薄暗くなっていた。
「おかえり。…って、まぁ!」
お母さんが嬉しそうに呟く。
「こんなにたくさん…伊織くん、柚名につきあってくれてありがとうね」
「いえいえ。いいんです、暇だったので」
お母さんは、伊織にしかお礼を言わない。
…釣ったのは全部伊織だ、ってわかってるんだろうな。
「伊織くん、よかったら夕飯食べていかない?」
「あ、でも…」
「夕飯何にしようか悩んでた所なのよ~。せっかく魚とってきてくれたんだし、ね?」
お母さんの威力に負けたのか、伊織は。
「…じゃあ、お邪魔させていただきます」
と、言った。
お母さんは、伊織くんのため!と張り切っていた。
今晩は、豪華になりそうな予感。

