気がつくと、もう日が暮れ始め、バケツの中は魚でいっぱいだった。 「そろそろ帰るか」 私はコクリと頷いた。 伊織がバケツを持って立ち上がる。 でも、私はここから動く気になれなかった。 「どうした?」 伊織が心配そうに尋ねる。 … …だって。 「もう…伊織、遊んでくれないかもしれないからー…」 伊織と遊ぶ時間は、私の中でとてもかけがえのないものだから。 「…バカなやつ」 わしゃわしゃと頭を撫でられる。