「伊織も行こ!」 「はぁ?俺は忙しいから…っ」 「ダメ!伊織がいないと上手くとれなくて…」 ー本当に。 私は魚を釣ることすら、伊織がいないと上手くできない。 今までは、伊織と2人でとった魚がよく食卓に並んでいたが、伊織が上京してからはめっきり回数が減った。 「…だめ?」 「…ーちょっとだけだぞ」 ため息をつきながらも、私の持っていたバケツをひょいと持ち、川へと向かってくれた。