ん?どーゆーこと?

いや、確かに私はお嬢様だけど、姫ではない…はず。


「行くぞ」


私の手を握って、歩き出す翔。

大きくて温かい手。

私はただ引っ張られるまま翔について行った。

しかし、後ろから恨みの視線がグサグサ刺さっていた。



校舎に入る途中まで、ずっと人に見られた。

その間、頭の中は?がいっぱい。

全く分からない。

目が手に行くと、急に恥ずかしくなってきた。


「翔…もうそろそろ離して」


するとすぐに手が離れた。

なんとなくさみしく感じたのはなんでだろ…。


「翔…」

教室の前の廊下で呼び止める。

一つだけ確認したかった。


「んー?」


私の前を歩いていた翔が振り返る。

茶紙の長い髪が揺れた。


「な、なんでさっき姫って言ったの?」

「なんでって、悠乃は姫じゃん」

「私は別に姫じゃない」

「俺がつかえてる時点で、悠乃は姫。

まぁ、姫は姫でもバカ姫だけど?」

「はぁ!?」


翔が意地悪く笑ってる。

さっきの優しさはどこ行った!

そして私は、いつからバカになった!!


「何言ってんの!あんたのほうがバカじゃん!

お弁当頼んだら重箱持ってくるしさぁ!」

「あれはしゃあなかったんだよ!

てか、弁当いらない日に持って来いなん」

「朝から仲良いな」


後ろから声がした。