朝ごはんを食べ終えると、長い髪の毛を二つにくくり、いつのも赤い頭巾をかぶってから出かけようとした。



するとお母さんが、


「あっ、ちょっと待って、赤ずきん。おばあちゃんから、ぶどうのワインをちょうだいって言われてるの。一緒に持ってってくれない?」


と言いながら、ワインの入ったバスケットを差し出してきた。



「うん、分かったわ。おばあちゃんもあんな年なのに、こんなワイン飲むのね」



にっこり笑いながら赤ずきんがそう言うと、お母さんもくすくす笑って



「ホントにそうね。体調くずさなきゃいいけれど」



と言った。それから、



「あ、お昼までには帰ってきてちょうだいね。村でもあなたの誕生日パーティするんだから」



「もうお母さんったら。分かってるってば」



「それと、おばあちゃんの家はこの村から森を超えてかないといけないから―――」



「―――寄り道せず、帰りは途中までおばあちゃんに送ってもらえ、でしょ?分かってるってば」



今までに何回も何回も言われてきたその言葉に、赤ずきんは少々あきれながらお母さんのその言葉の続きを口にした。



あたしだって、もう子供じゃないのに。

と赤ずきんは思ったが、お母さんを心配させたくはないので、あえて言わなかった。