一番近くに君が居る


それから特に大した話をするでもなく、二人は暗い帰路を歩いた。美穂の家を直哉は覚えていた。こんな時間だということもあり家の前まで送り届けると、「昔みたいだね」なんて美穂は笑った。


「じゃあまた、部活で」


そう告げて家に入る美穂を確認すると、直哉は無意識のうちに溜息が零れる。どうしてこうなったのか。直哉にはもうさっぱり分からない気持ちだった。

そしてそのまま歩き出し、家へと向かう直哉だったのだが、そんな時だ。急に背後から声が聞こえて来る。


「まーきーくーん」


直哉はギクリとした。誰にも見られたく無かった。特にコイツには。コイツだけには。


「…佐久間」


直哉は恨めしそうにその名前を呟いた。