一番近くに君が居る



「違ぇよ。ンな訳ねぇだろ」そう答える直哉はどこか不機嫌そうだったが、それを見ても美穂は笑顔は崩さない。美穂は美穂なりに決心した事があった。

「そう、よかった」なんて美穂は独り言のように言ったが、もちろんそれは聞こえるように言っている。


「直哉君、私がマネやってて驚いたでしょ」

「あぁ。そりゃあな」

「直哉君と散々な別れだったもんね。私もあの頃は若かったなと思って」


そう言ってクスッと笑って髪を耳にかける姿は流石に絵になる。しかし今の直哉にはその姿に見惚れる程の心の余裕は無かった。

当時、別れる原因になったのはやはりココの存在だった。彼女としての美穂の要望はココと二人っきりで登下校して欲しくないだとか、ココとあまり遊ばないで欲しいだとか、通常であれば当たり前なものだった。