一番近くに君が居る



咲を見送った後、ココと翔の二人は校舎を出て、体育館は覗かずに帰路についた。


「でも翔君って女グセ悪いんだ…」


改めて先程の話を思い返しているらしいココは、独り言のようにそれを呟く。やれやれと翔は溜息をついた。


「そんな事もねぇよ。でもまさかそんな噂も流れてるとは…オレも驚いた」

「そうなの?わたしも驚いた!」


いやいや、それ以前にオレの事も知らなかったクセにと心の中でツッコミつつ、翔はココの話に適当に相槌を打つ。


「直哉は知ってるのかな?だからあんなに気をつけろって言ってたのかな」

「…さぁなー?でもアイツは初めっからオレの事知ってたみたいだったなー」

「そうなんだ、ココは知らなかった!じゃあ翔君は?直哉の事知ってた?」

「あぁー、同じ高校だって話には聞いてたから、名前見てもしかしてとは思ったな」

「話?誰に?」

「笑華だよ笑華。アイツからよく聞いてたぞ。おまえらの事よろしくって言ってたな」

「!、笑華ちゃん…っ!」