一番近くに君が居る



「それは、それは…わたしの、」

「他に誰が居るんだよ」


最後まで言わずとも、直哉には伝わるココの言葉の意味。なんでだろう、なんで直哉は分かるんだろう。わたしは聞かなきゃ分からないのに。

…そうだ、聞かなきゃ分からない…


ココは長田との約束を思い出す。するとその瞬間、ココの脳裏に浮かんだのはベンチに座る直哉と美穂の姿。直哉が手を伸ばしてきた瞬間、あの瞬間にも浮かんできたこの光景。直哉は、直哉は美穂ちゃんを抱き寄せてたーー


「…でも、他にも居るもん」


そして口をついた言葉は自然と零れたもので。


「…え?」


目の前で唖然とする直哉を確認すると、ココの胸にはまた違う感情が芽生え始めた。


「わたしだけじゃないもん、わたし、知ってるんだから」

「は?何言って、」

「わたし見たんだから!」


その瞬間、グッ重い沈黙が生まれる。ココはもう目を逸らす事は無い。そのココの言葉にまさか、と直哉は気がついた。