「…まぁ兎に角、次はココちゃんの教室だね。直哉も来るでしょ?」


ひとしきり騒動が終えた後、笑華が直哉に尋ねると、直哉は「あぁ、そうだな」なんてすんなりと答えた。翔はその様子に“ん?”と、違和感を覚える。


…今距離を置いてるんじゃなかったか?だからここのところは割と避けるくらいの勢いで会わねぇようにしてたような気がする…んだけども、なのに今から会いに行くのか?


いいのか?と、声にはせずに視線で尋ねる翔。するとそんな翔の気持ちが直哉にも伝わったらしく、直哉はチラリと翔を見て小さく笑った。


「ココの教室は3階だ。行こうか」


何事も無かったかのような笑顔でそう口にした直哉は、昨日までの直哉とはまた違うように翔には感じた。そして思い出したのは先程のやけにスッキリとした直哉の様子。…しかし、流石の翔にもそれだけでは何があったのか推測することは出来ても、断定するまでには至らなかった。

でもそれでもいいかと翔は思う。直哉がスッキリしているならば、それでいいじゃないかと。

そして気になっていた昨日のココのあの発言も、そんな直哉を見て自分の胸に留めておく事に決めたのだった。