一番近くに君が居る



「え、咲アンタ忙しいのに何しに来たの⁈ 」

「ねぇ友美。怪我してない?」

「はぁ⁇ 」


いきなりの意味不明な言葉に友美は目を真ん丸くして咲を見据える。彼女の表情からして調理をする自分を心配してかけられた言葉で無いのは明らかであった。


「例えば火傷…いやそれじゃダメか。切り傷がいいかな!ちょっと切っちゃったくらいのヤツ。どう?」

「いやどうって、してないけど…何?なんで?」

「うーん、どうしたら中庭に行く理由が出来るかなと…あ、パタパタ聞こえる、もう戻って来た!」


すると咲は「じゃあ友美。あなたは指を切ってしまったということで!」なんて言うと慌てて教室を出て行った。そしてそのまま外の廊下から聞こえて来た「ココ大変!友美が指切っちゃったみたいでさ、保健室に絆創膏取り行ってくれない?」という咲の声。

それ対して「大変だ!わかった!」と言う素直なココの返事とまたしても聞こえ始めたパタパタと走る音が遠ざかっていき…


「おい渡辺!早く手伝え!」


別に聞こえてきたのは長田の声。そしてその声に「はいはいっと」なんて答える咲。きっとそのまま隣の教室へと連行されたのだろう。友美はそれまでの状況が声だけで目に見えるようで、つい一人笑ってしまった。