一番近くに君が居る



そのまま二人は花火を見続けた。食い入るように見るココと、複雑そうな表情で見る長田。二人の心境は違うものだが、この時間で二人は同じものを同じ場所で共有し、二人の胸に何かが残ったのは事実である。


「…文化祭楽しみだね」


ポツリと呟いたココに長田は「そうだな」と答えた。花火が一つ、打ち上げられる。大きな花を咲かせたそれは今日を締めくくる最後の花火であった。



花火が終わりココは思い出したかのように連絡しなければと携帯電話を確認すると、そこには直哉からの不在着信の履歴が残っていた。


「あ、直哉から連絡入ってる…全然気づかなかった!」

「人混みやら花火やらで気づかなかったんだろ。折り返してみれば?」


そしてそのままココが折り返すとコール音が鳴ってすぐ、焦ったような声の直哉が出た。


「あ、直哉?今花火終わって、」

「ココ!今どこだ?どこに居る⁈」

「え、あ、あぁ。えっと…なんか、お参りするところ…かな?」


すると「奥の階段ってそっちのか!」なんて直哉の悔しそうな呟きが聞こえて来たが、そっちって何の話だ?と、ココは首を捻る。


「場所は分かった!迎えに行くから!」

「え、いいよ、そしたらわたしがそっち行くし…美穂ちゃん達は今、」

「いいから!行くから待ってろ!」


そして一方的にプツリと切られた通話に、ココはまたしても首を捻ることになった。…なんだろ、変な直哉。