一番近くに君が居る


直哉はとても切ない気持ちになった。こんな気持ちは初めてだ。そして、そういうことかと直哉は理解した。


「…ココ。佐久間の事好きか?」


その問いに、ハッとココは顔を上げる。ぶつかる視線。動きだすココの唇。直哉は全てを目で捉える。


「…好きだよ?」


その言葉が耳から頭へと通り抜けた瞬間、目の前で首を傾げるココがもう目に入らなかった。

あぁ、もう時間が止まればいい。もうこのまま止まってしまえばいい。もう俺には何もいらないから、だからお願いだ。でないと俺はこの先ーーどうしていけばいいのか、もう分からない。

全てを失った、そんな気がした。何もいらないからと願いながらも、すでに手元には何も残っていない。矛盾だと直哉は思った。もう自分には願うために差し出すものすらない。