まっすぐに伸びる街道。



世界の中心へと向かうその果てしない街道を2人は歩いていた。




「なんとか今日中には着きそうですね。」



少し高めのレイシアのいつもの声に、シギは静かにうなずいた。


早朝にトクルーナを出てから、2人は延々と歩きつづけていた。

王都は日暮れと同時に門を閉める。

トクルーナから王都までは丸一日あればたどり着くことのできる距離であるため、なんとか日暮れ前に王都に着けるように2人は歩いていたのだ。



いままで2人が旅の道中で歩んできた街道に比べこの街道は…


「……さすがに賑わってますね。」


シギは思わずそうつぶやいた。




シギがそう思うとおりに、まわりにはたくさんの旅人や商人が街道を往来していた。

混み合うほどではないものの、明らかに他に比べて人にあふれている。

それは王都に近づけば近づくほど増えているように見えた。



「これだけ人がいれば王都はかなり混み合っていそうですね。」


そうシギが言うと、レイシアは小さく笑う。



「王都の大きさをなめてひいけませんよ。

これ以上に多くの人がいて、それでもあふれることはありませんから。」



そのレイシアの言葉に、シギは王都の大きさを想像してみる。

だが外の世界についてただでさえ疎いシギには、まったく形が浮かばない。



「師匠。王都はどんなところなんですか?」



そのシギの素朴な質問に、レイシアはにっこり微笑んで答える。



「王都はとても美しい都です。

花と水の都、と呼ばれていて、町中がトクルーナから運ばれてきた花と、水のオブジェで飾られています。

建物はどれも真っ白な壁にオレンジの屋根。

整備された石畳の道や美しい水道が街を走っているんですよ。」