レイシアとシギの指導のおかげで、ミルドナの街の修復は着実に進んでいた。
被害者の埋葬から、道路や建物の修復、さらに被害を受けた店舗への援助など。
レイシアとシギはミルドナに1週間滞在した。
街を出る日、街中の人が別れを惜しんだ。
「ほんとに行くのかい?」
「感謝してもし足りないよ。」
「あんたたちのおかげてやってこれた。」
「行かないで。」
「また遊びに来なよ。」
「街のことはまかせろ。」
様々な別れの声にレイシアは笑顔で答えた。
シギは小さく礼をしながら、あいさつをする。
最後にミルディー亭の3人が待っていた。
今度は夫婦2人して号泣していた。
その2人をなだめていると、
「レイシアさん。シギさん。」
とナムに声をかけられる。
ナムはいつものようににこにこと笑い、
「父さんと母さんのことは任せてくださいな。
やっていけますから。」
と言う。
それから真剣な顔で2人を見て、
「本当にあなたたちのおかげですよ。
みんな感謝してる。
ありがとうございました。」
と言ってまた笑う。
「みなさんが強いからですよ。」
とレイシア言う。
それに街の人たちが笑う。
レイシアはその瞬間シギを横目で見る。
シギもレイシアを見ていて、視線だけで了解の意味を表す。
それにレイシアが口の端を上げ微笑み、シギにしかわからない程度に口を動かし、何かつぶやく。
すると突然すごい突風が吹き、路地の砂埃を巻き上げる。
それに街の人たちが驚きの声を上げながら、顔を覆う。
風が去り、みんなが目を開くと。
そこにレイシアとシギはいなかった。
ナムもミルドナの人たちも、しばらくその誰もいない場所を見つめていた。



