ティラは必死で駆けていた。
昨日、また知らない間に寝てしまってから、さっき起きたばかりの鈍い身体。
まだ眠気を引きずる筋肉に勝を入れ、必死で町中を走る。
起きたら、あの3人がいなかった。
行き先はわかっている。
「はっ…………う…………」
渇ききった喉をおそう吐き気に目を細めながら、しかし足を止めることなく駆けた。
レイシアはマイルから『呪い』を奪おうとしている。
だが……………
「はっ……はっ…………」
ティラはそこで足を止めた。
膝に手をついて、うつむく。
だが、自分はこれから何をしようとしているのだろうか。
レイシアを止めるのか?
それとも、兄の最後を見届けるのか?
正直、わからなかった。
自分がなぜ今こんなにも必死に走っているのか、まったくわからない。
いつもこんなとき、支えてくれたのは、兄だったから。
「はあっ……………うぅ、うあ……。」
涙があふれてくる。
まただ。
この涙の意味もわからない。
なぜ自分が泣いているのか、なぜこんなにも苦しいのか、なぜこんなにも走っているのか。
何ひとつ。
「うっ……く、い、行かなきゃ……行か……」
嗚咽でまともに息もできない身体を、無理矢理動かす。
自分がいったい何をしたいのかわからないけど、とにかく今はレイシアを追わなければならない。
いつも、進むべき道を示してくれた兄も、今はいないのだから。
自分で、道を見つけなければならない。
少し落ち着いた息に深呼吸をして、軽く地面を蹴って走り出す。
あの曲がり角を曲がれば、レイシアがいるかもしれない。
さっきから幾度となくそう思いながら曲がった何回目かの曲がり角を曲がる。
しかしそこには………
「ブルゴア様!!!!!!!」



