「ブルゴア様。」
廃れた街の中で、唯一異常な輝きを放つ建物。
宮殿と言っていいほどの大きさの建物。
その中の、玉座のような場所に彼は座っていた。
純潔のキニエラ族になればなるほど、美しいと言われる金髪。
王家の血縁にある彼は、もちろん美しい金髪を持っていた。
しかしその姿は、美しいとは言えなかった。
醜く太った身体は玉座からだらしなくはみ出ていて、40代の後半と見える年の顔は、歪んでいた。
「なんだ。」
くぐもった低い声。
広い部屋の隅に立った一人の兵士が、静かに声を出す。
「ブルゴア様。
あのルーク家の息子の姿は、まだ確認されていません。」
「何をしておるのだ!!!!
早く見つけだせ……!」
「しかし、ブルゴア様。
リール家の息子の姿は確認いたしました。」
「リール家の息子?」
片眉を上げて、ブルゴアが聞く。
「はい。
数年前に、奇っ怪を起こした子供が、帰ってきたようです。」
「………ああ、あいつか……。」
ブルゴアは下品ににやりと笑った。
あの子供を王家に差し出したおかげで、自分の地位はさらに有利になった。
侯爵から公爵へと爵位も上がり、たくさんの金も与えられた。
「……ふん。のこのこと帰ってきたか。
また奴を差し出せば、さらに私の地位は上がる。
奴に感謝しないとな。」
それに兵士は一礼して、去っていく。
その背中を見つめてから、ブルゴアは強く瞳を閉じて、神経を集中させる。
この街の中に、妙な感覚があるのだ。
同類。
同じく、神より力の与えられた人間がいる。
それがルーク家の息子であることは確かだった。
「ん?」
なぜか、今日はもうひとつ妙な感覚がある。
嫌な感じだ。
同類とは違う、嫌な感じ。
「…………なんだこれは。」
もしかしたら、あのリール家の息子かもしれない。
そこでブルゴアは笑う。
ならば、ちょうどいい。
これで手っ取り早く、金のなる木を捕まえられる。
「明日、街に出るか。」
そう言ってブルゴアは、笑った。



