zinma Ⅲ





その言葉にマイルの眉がぴくりと動く。




「………なぜ奴をかばう?」


「別にかばうわけではありませんよ。

ただ、人を殺してあなたに力をつけられては、吸収したあとに私のこのニンゲンの身体が壊れてしまうので。」


両腕を広げて身体を見せるようにしながら言うレイシアに、マイルは鼻で笑う。



「………その身体も、だいぶガタがきてるみたいだね。

『神の犬』もいろいろ大変だなあ。」



人事のようにため息をつくマイルに、レイシアはまた笑う。




マイルの態度はいたって紳士的だった。




ただ、『呪い』に侵されて暴走する契約者とはちがうようで。


『呪い』を上手く手なずけ、理性を保っている。


それだけマイルの契約者としての器が、大きかったということだ。




「まあ、昔の馴染みの君との縁に免じて………

いいよ。」


「え?」

そのマイルのつぶやきに、今度はレイシアが驚いた顔をする。

そのレイシアを見てまたマイルが笑う。



「はは!なんて顔するんだよ!

別に僕はこの『呪い』に執着はないからね。
奴が現れたら、これは大人しく君に渡すよ。

君なら、僕よりも目茶苦茶にブルゴアを潰してくれそうだしね。」



笑いながらそう言うマイルに、レイシアが顔をしかめる。


「………本気ですか?
あなたは『呪い』を失えば……」


そのレイシアの言葉に、マイルも真剣な顔になり、うなずく。



「僕がどうなるかくらい、僕が一番わかっている。

心残りはないさ。」


「しかし、ティラさんはどう………」


「それは君がなんとかしてくれるんだろう?」


「……………。」



黙り込むレイシアを見て、マイルは満足げに微笑む。



「ただし、条件があるんだ。」


「条件…………?」















「……………なるほど。そういうことなら、任せてください。」


マイルの話に、レイシアは静かにうなずく。



「君ならそう言ってくれると思った。」



そう言って微笑むマイルの顔は、禁忌を犯している犯罪者だとは思えないほど、穏やかだった。






「…………あなたのような人を失うのは、とても残念です。

まあその反面、契約者があなたであってよかったと思う自分もいますが。」


マイルの横に並んで腰掛けながら笑うレイシアに、マイルも笑う。