叫び声に反応して、レイシアはすぐにティラの家へと駆けた。


ダグラスとシギでさえ、一瞬姿を見失うような速さで、レイシアは飛び出す。




しかしそれに、


「逃がすな!!!!」

「追え!!!!」


街の住人がいっせいに3人へと襲いかかる。



レイシアよりも遅れて飛び出したダグラスとシギが、一番に狙われる。


「くそっ!」


思わずダグラスが振り向いて構えたところで、


「ダグラス!!!走りなさい!」


レイシアの一喝に、ダグラスは思わず肩をすくませる。



また走り出したダグラスの目の前で、シギがレイシアの目配せにうなずいた。

シギはすぐさま走ったままでダグラスのほうへ振り向くと、


「いいですか?
師匠が合図したら地面にふせてください。」


静かだが、力のこもった声でそう言う。



よくわからないままダグラスがうなずくと、レイシアが突然走ったままでかがみ、器用に右手の平を軽く地面に当てる。


レイシアの手が触れた場所がかすかに光ったかと思うと、レイシアはまた勢いよく走り出した。



そのままレイシアの右手がわずかに持ち上がったところで、


「ダグラス!伏せて!!」


自らも伏せながらシギが叫ぶので、ダグラスは慌てて身体を地面にくっつける。







レイシアが、手を軽く振るった。







ドンッ!!!!!



耳が痛くなるような爆音とともに、大地が大きく揺れる。


「う、うわあああ!!!」


あまりの揺れに、走っていたままの姿勢でいた住人たちはバランスを崩して倒れる。



それと同時、

「いまです!」

シギがそう囁いて、地面に伏せていた身体を一気に跳ね上げて、まだ走りつづけているレイシアを追う。


ダグラスも地面をたたき付けて同じように身体を跳ね上げると、2人を追う。



そのころにはレイシアはもうティラの家にたどり着いていて、勢いよくドアを開けていた。