zinma Ⅲ




それに少女が顔を上げ、悔しそうな泣きそうな顔に歪める。



「サムラに連れていって何をする気かはわかりませんが、めどは立ちます。

サムラの領主といえば、王家の血縁だとかいうブルゴア公爵。

かなりの暴君です。

彼絡みで何かありましたね?」



それに少女が信じられないといった表情でレイシアを見上げる。


ダグラスとシギは静かにレイシアの言葉を聞いていた。



「西の要塞の向こうは、今ひどい飢饉にみまわれているはず。

ブルゴア公爵はおそらく、王家のコネを使って王家への納税を先伸ばしにした。

その条件というのが………


人身売買といったとこですか。」



「あ…あんた、なんで…………」



「サムラの人たちは税の変わりに人を捧げなくてはいけなくなった。

しかし家族を売りたくないがゆえに、旅人を拘束し、売る方法に出たんでしょうねぇ。

しかしそこで、サムラに何か異変が起きた。

なんでしょうね………。」



そこでレイシアはまたしゃがみ、少女を見上げるようにして見つめる。


「何が起きたんです?」





少女がレイシアを驚いたように見開いた目で見つめる。


そして、その赤い瞳から涙が、流れ落ちた。



「………領主様はおかしい。」


「というと?」


「はじめはみんな、旅人を売るなんてできなくて………」


「………。」


「領主様に引き渡したあと、みんなで助け出したりしてた…。」


「なるほど……。」


「でも……でもある日、それがばれて……」


「なぜです?」


「町長さんが……裏切った。

先頭に立って旅人を助け出してた人なのに…。

でも町長さん、様子がおかしかった。」


「どんなふうに?」


「……目がうつろで、人形みたいだった。

それから、領主様のとこに申し立てに言った人たちはみんなそうなって、旅人を助けられなくなった。」


「………。」


「人買いももっとひどくなって……。

あたしはサムラに旅人を送るために、出てきた。

逃げたんじゃない。」


「………。」



そこでレイシアは立ち上がり、ナイフをお手玉にしながら、考えるように目を閉じる。