「ここは南の街道だな。
まさか砂漠へ行くのか?」
レイシアはそれに、水色とも黄緑ともとれる不思議な色合いの瞳を街道の先へと向ける。
「目的地はまだ未定です。
目的地を決めるために、いま進んでいるんですよ。」
その意味ありげな言葉にダグラスが怪訝な顔をすると、シギが無表情のまま、
「そのうちわかります。」
と、付け加える。
そんな謎の多すぎる2人の少年との旅に一抹の不安を感じながら、ダグラスはその不安ごとため息を吐いた。
3人が向かったのは小さな林だった。
木の葉のすき間から差し込む光が、黄金の帯となって地上に降り注いでいる。
「…………ここは…?」
ずんずんと進んでいくレイシアのあとを追いながら、ダグラスは小さくつぶやく。
無言で進んで行くレイシアの変わりに、シギが肩越しに振り向いて前方を指差し、歩き続けながら答える。
「この先に『祈り場』があるんですよ。」
「『祈り場』?」
眉をひょいと上げてダグラスは聞き返す。
また前を向いてから、シギは答える。
「魔力が特別多く集まっている場所のことですよ。
ルミナ族では昔から『祈り場』と呼んでいるんです。」
それに感心するようにうなずいてから、ダグラスは聞く。
「その『祈り場』になんの用なんだ?」
シギは一瞬黙り、静かに、しかしどこか厳しい口調で言う。
「…………『呪い』を、使うんです。」
ダグラスはそれに目を細めた。
レイシアに『選ばれしヒト』のことはある程度聞いていた。
だから、レイシアが『呪い』の力を使ってしまえば、どうなるのかもわかっているのだ。
『選ばれしヒト』は『呪い』を吸収する。
さらに神から、その『呪い』を使うことも許されているのだ。
ただ、『呪い』を使う度に、命を削るという代償を払って。



