zinma Ⅲ




ダグラスはある違和感を感じて、目を細める。



青年の背中。


黒装束とプラチナの髪の隙間にのぞく、色白の首筋。




そこに何か、






黒が。













目をこらして見てみると、わずかに何か黒いものが見えた。

黒装束の黒よりも、窓の外の世闇の黒よりも暗い黒。





どくん。




また大きな鼓動が聞こえたとき、それが何なのかはっきりとわかった。






血管だ。








真っ黒な、血管。




それが、大きく脈打つ度に、あの鼓動が聞こえて来る。


さらにはその黒の血管も、脈打つ度にどんどんその長さを伸ばしていて。



それはまるで、異常に指の細い黒の手が、青年の顔を覆おうとしているかのようだった。


どくん。


色白の首筋に、はっきりと浮かぶ炭のように黒い血管は、背筋が凍るかのような感覚に襲われる。


どくん。





そこでついに血管が、青年の頬に差し掛かったのがわかる。


するとそこで青年がふいに振り向く。



「………っ!」



ダグラスは思わず声にならない悲鳴をあげる。




青年の美しい顔には、左頬にすでにいくつもの漆黒の血管が浮かんでいて。

左目はなぜか、真っ黒に塗り潰されていた。




「………よく見ていてください。

あなたは私たちに関わることを選んだ。

ならばこれが、あなたがこれから歩む世界です。」




どくん。


そう言い終わったところで、血管が左頬を貫き、鼻筋にたどり着く。








青年が左手をドープに向けて掲げる。



「………ぁ……あ……………」



ドープはもう恐怖に声が出せなくなっている。


それを見て、左手を掲げたまま青年が大きく笑う。



「ははは!あははは、は、はは!


怖いんですか?
恐怖を感じている?

しかしこれはあなたがまいた種なんですよ?」