ダグラスはある違和感を感じて、目を細める。
青年の背中。
黒装束とプラチナの髪の隙間にのぞく、色白の首筋。
そこに何か、
黒が。
目をこらして見てみると、わずかに何か黒いものが見えた。
黒装束の黒よりも、窓の外の世闇の黒よりも暗い黒。
どくん。
また大きな鼓動が聞こえたとき、それが何なのかはっきりとわかった。
血管だ。
真っ黒な、血管。
それが、大きく脈打つ度に、あの鼓動が聞こえて来る。
さらにはその黒の血管も、脈打つ度にどんどんその長さを伸ばしていて。
それはまるで、異常に指の細い黒の手が、青年の顔を覆おうとしているかのようだった。
どくん。
色白の首筋に、はっきりと浮かぶ炭のように黒い血管は、背筋が凍るかのような感覚に襲われる。
どくん。
そこでついに血管が、青年の頬に差し掛かったのがわかる。
するとそこで青年がふいに振り向く。
「………っ!」
ダグラスは思わず声にならない悲鳴をあげる。
青年の美しい顔には、左頬にすでにいくつもの漆黒の血管が浮かんでいて。
左目はなぜか、真っ黒に塗り潰されていた。
「………よく見ていてください。
あなたは私たちに関わることを選んだ。
ならばこれが、あなたがこれから歩む世界です。」
どくん。
そう言い終わったところで、血管が左頬を貫き、鼻筋にたどり着く。
青年が左手をドープに向けて掲げる。
「………ぁ……あ……………」
ドープはもう恐怖に声が出せなくなっている。
それを見て、左手を掲げたまま青年が大きく笑う。
「ははは!あははは、は、はは!
怖いんですか?
恐怖を感じている?
しかしこれはあなたがまいた種なんですよ?」



