「……………貴様ぁっ………」
ダグラスが絞り出すように言うが、ドープはまた大きく嘲笑う。
「ははっ、はははは!
あいつらと関わるからこんなことになる。
残念だよ。本当にな。」
部屋に入ってきた何人もの兵士が一斉に剣先をダグラスに向ける。
ここまでだ。
まさか最後にこんな悔しい思いをすることになるとは、思ってもみなかった。
だが死ねば、きっと死ねば、カリアとファギヌに……………
金色の残像が見えた。
「動かないで下さい。」
少し高めの、澄んだ、しかし今は凄みを込めたまだ若い青年の声が部屋に響いた。
その部屋のだれもがその声の方へ目を向ける。
「くそっ………いつの間に………っ」
そう吐くドープの背後。
ドープの首元には、いつの間にか後ろから伸びた手によって、一本のナイフが当てられていた。
そこでドープがわずかに手を動かして、兵士に指示を与える。
それに一番近くにいた兵士がわずかに動くが、
「ぐぁ………」
そこで声をあげたのはその兵士だった。
兵士の右足の甲には、まるで床に縫い付けられるかのように深々とナイフが刺さっていて。
さらにはドープに突き付けられたナイフが絶妙な力加減でわずかにドープの首に近づき、皮一枚を切り裂く。
「ぐ…………」
それにドープが顔をしかめ、他の兵士も動かなくなる。
「動くな、と言ったはずです。
聞こえなかったんですか?」
この場にそぐわない丁寧な口調で、何者かが言う。
「………暗殺者か…。」
ドープがそう言うが、ダグラスにはそれがだれかわかっていた。
あの話し方。
そして異常な身体能力。
そこでドープの片口から、やっとそれが顔を出した。
引き締まった細身の身体を黒装束で包んでいて、フードを目深に被り、服に着いたマスク用の衿元を口まで引き上げて顔を隠している。



