『カリア。』
『はい。』
『私たちルミナ族の役目はわかるか?』
『『選ばれしヒト』の後見人になることです。』
『そうだ。それが私たちが神に魔術の変わりに誓った契約だからだ。
だがなぜ私たちがそれをしなければならないと思う?』
『…………。』
『『選ばれしヒト』はその名の通り、神に選ばれた神の分身。
神に等しい力を得ることを許されたヒトだ。
その『選ばれしヒト』が、なぜわざわざ少々の力を与えられただけのルミナ族が彼を見守る必要がある?』
『……『選ばれしヒト』は、はじめは無力だからなのでは?
何も知らず生まれてきたかぎり、彼は人間です。』
『なるほどな。確かにそうだ。
私たちは『選ばれしヒト』に知識と身を守る力を与えなければならない。』
『はい。』
『だが私はそれだけではないと思う。
選ばれしヒト』は、弱いんだ。』
『弱い………?
力を持っているというのに?』
『ああ、力は持っている。
しかし彼はただの一人の人間の中に、別の生き物を無理矢理混ぜられたと同じ。
人間でもなく、神でもない。
そしていつか彼は………』
『………はい。』
『今までの『選ばれしヒト』がその役割を全うできずに消えていったのは、彼が孤独であったからだ。
その身に黒き力『呪い』を溜め込み、いつまでも清い心で世を見つめ、身体の中で暴れる『呪い』に心を食われないようにしなければならない。
できるはずがないのだ。
人の世からも、神の世からも切り離された孤独な存在が、その胸のうちに弱さを抱かないわけがない。』
『……はい。』
『だから彼らは消えた。
『呪い』に侵され、神によって裁かれた。
私たちはそれを防がねばならぬ。
彼の孤独を癒してやるのが、私たちの役目だ。』
『どうやって?』
『それはお前が考えろ。
それもお前の役目だろう?』
『……はい。』



