「こんばんは。」
この緊迫した状況、さらに全力で押している剣を片腕で受け止めているにも関わらず、まるで世間話でもするかのような余裕の声で旅人が言う。
見た目は16、17だというのに、やたらと達観した穏やかな笑み。
「貴様………暗殺者か…!!」
剣を押しながら問い詰める。
それに青年がまだにこにこと微笑みながら答える。
「そう聞かれて素直に、はいそうですと答える暗殺者はいないのでは?
それに私たちは暗殺者ではありません。」
それに一度剣を引き、もう一度剣を振るう。
さっきよりも、速く。
しかし青年はまた簡単にそれに反応し、また腕で受け止める。
また甲高い音が鳴る。
しかし今の攻防で、青年が武器を持っていないことがわかる。
おそらくドアを固定するのにナイフをすべて使ったのだろう。
そして青年の背後でまだうずくまっているもう一人の刺客に目をやる。
どうやら手傷を負っているようで、動く気配がない。
ならば、こちらのものだ。
「貴様……なんの用で来たのか知らんが、王城に忍び込んでただで帰れると思うなよ。」
それに青年はこちらを馬鹿にするように小さく笑う。
「はは、ここまで忍び込まれておいて、どの口がそんな大口をたたけるんでしょうね。
もう少し警備を強化したほうが良いのでは?」
それに自分も笑う。
「ふん。確かにな。
だが警備の兵は所詮まだまだ三等兵だ。
私を他の兵といっしょにするなよ。」
そして全身に力をこめる。
本気で目の前の敵を殺せるように。
すると青年の雰囲気も少し変わるのがわかる。
まがまがしいものへ。
目を細め、一度一歩引くために足に力をこめる。
隙なく。
殺す。
確実に目の前の敵を………
「…………だ………す……」
いつの間にかもう一人の刺客が立ち上がっている。
まだ窓のほうを見ているために背中しか見えないが、よろめきながら立っている。



