ミルドナ。



遊牧民や、集落の集まった小さな村を除き、街と呼べるものの中では最北端の街だ。



多くの山脈がそびえ、その山脈のふもとには、山脈からは外れた小さな山々がある。

さらにその南にボニス平原が広がり、ボニス平原にはたくさんの遊牧民族が暮らしている。

そのボニス平原の南端にあるのがミルドナだ。



たくさんの遊牧民族たちが、生活物資や自身の家畜から収穫したものの売買を目的として、この街にやって来る。



そのおかげで、ミルドナは都会とまではいかずとも、様々な民族の伝統品の売買に栄える街になった。



街には北の民特有の赤煉瓦の家が立ち並び、石畳の道の脇を、遊牧民の刺繍の縫い込まれた布や食品を売る屋台が敷き詰められ、毎日商店街は賑わいを見せていた。






そんな平和な街に、また今日も旅人が訪れた。