―3年後―



「ママぁ、お腹すいた・・」



「セイラ、もう少しだけ・・我慢して。」




小さい手をつないで歩く。




私は生まれた息子を、セイラと名づけた。




沢山 青空




青空と書いて、セイラと読む。



顔は私に似ていたけれど、



その澄んだ漆黒の瞳だけは父親にそっくりだった。





バスを降りて、家に急ぐ、




すれ違うおばさんが、私達にしゃべりかけてきた。





「あら、かわいい、お子さん。・・今日は日曜だし、ママとお出かけ、いいわねェ~
パパはどうしたの?」




「お空ぁ~」




話しかけられた、青空は、澄み切った空を指差す・・




「??そ、そう、いいお天気ねェ~」




訳のわからないそのおばさんは、私に軽く会釈して、




バス停まで、歩いていった。





教えてもいないのに、青空は、「パパは」と聞かれると、



空を指差すようになっていた。