振り向くと、満面の笑みの城乃内千里。


…そんなに一位が嬉しいか。


そして、そんな奴をみて黄色い歓声を上げる女の集団。


…コイツをみてキャーキャー叫ぶ女の気持ちが分からない。



奴を教祖とする一種の宗教団体のようにも見える一帯を、私は白けた目で見た。



確かに顔は整っている。

それは認めよう。

だが、問題は性格だ。


…なんて思っていると。



「水嶋さん」



…ほら、きた。



「…なに?」



「二位、おめでとう」



「…それはどうも」



ムカツク。

コイツは、私が二位では満足していない事を知っていて、こんな事を言ってくるのだ。


本っ当に、性格悪い。



にっこり笑って答えながら、掌に爪が食い込むほど、拳を強く握った。



 *  *  *



警察官になることを志して試験に挑み、無事警察学校に入学してから早二ヶ月半。


これまでのところ、私はただの一度も、射撃以外で奴に勝てたことがない。


悔しがる私をおちょくっているのか。

奴は、成績発表の度…

最近では、顔を合わせる度にさらりと嫌味を飛ばしてくる。


今まで傷害事件を起こさなかった私をほめてもらいたいくらいだ。