「さくら、」 抱きしめる腕の中で花の匂いがする。 女なんていらないと。 女なんてみんな同じだと。 そう思っていた俺を、変えてくれたのはさくらだ。 さくらと出会わなかったらきっと俺はイツまでも自分の殻に閉じこもって誰も信じず誰も愛せはしなかった。 「さくら、」 その名前を自分から聞いたのは何時だったか。 その名前を愛おしいと思うようになったのは何時からだったのか? もう思い出せない。 今の俺にはさくらだけしか見えない。 「俺のことを好きか?」 何度も聞いて、何度でも確かめる。