「俺があんたを助ける義理とかないから」

「おい、レオ、」

「うるせえな」

俺の肩を掴んだ玉木の腕を振り払った。


「助けてほしいって言ってんだから助けてやれよ。彼氏とかじゃなく」

「面倒なことはイヤなんだよ」

俺を巻き込むのは頼むからやめてくれ。
なんで俺が見ず知らずの女の言うことを聞かなきゃなんないんだ。

違うヤツに頼んだらいいじゃないか。

ちょっと可愛いけりゃ、あんたみたいな女は男がすぐに助けてくれるさ。


「俺は面倒に巻き込まれるのはイヤなんだよ」


「…」

とても傷ついたような顔をした娘は何も言わずに俯いた。


「おい、レオ、助けてやれよ」

「うるせえな」


「いいんです。すいませんでした。いきなり変なことを言ったのはわたしの方だから」

ペコリとお辞儀をして娘は小走りに俺の視界から去って行った。